text:sesuisho:n_sesuisho8-070
醒睡笑 巻8 頓作
70 越後の太守為景公国の中林泉寺へ年頭の一礼とて二月おもむかせ給ふ・・・
校訂本文
越後の太守為景公1)、国の中(うち)林泉寺へ、年頭の一礼とて、二月おもむかせ給ふ。住持、迎へに出でられける折節、庭前の白梅、長老の衣上へ散りかかりたり。
時に為景の一問、「落花の端的。和尚、作麼生(そもさん)」。答ふ、「時節梅花不借春風。(時節の梅花、春風を借らず。))」。為景公云ふ、「時節不借春風。和尚一刀。(時節に春風を借らず。和尚一刀。)」とて、刃を抜きかまへ給うたれば、和尚云ふ、「春風無手落花、汝無手殺我。(春風手無くして花を落とす。汝手無くして我を殺す。)」
翻刻
一 越後の太守為景公国の中林泉寺へ年頭の 一礼とて二月趣せ給ふ住持迎に出られける 折節庭前の白梅長老の衣上へ散かかり たり時に為景の一問落花の端的和尚 作麼生答時節梅花不借春風為景公 云時節に不借春風和尚一刀とて刃をぬき かまへたまふたれは和尚云春風無手落花/n8-29l
汝無手殺我/n8-30r
1)
長尾為景
text/sesuisho/n_sesuisho8-070.txt · 最終更新: 2022/11/12 22:11 by Satoshi Nakagawa