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text:sesuisho:n_sesuisho8-030

醒睡笑 巻8 頓作

30 京の町にてしだれ柳の物見なるを持ち歩く・・・

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京の町にて、しだれ柳の物見なるを持ち歩(あり)く。人、この柳を見付け、ことわりもなく押して取る。「こはなんぞ、狼藉なり」。「知らずや。『柳はみどり1)』といふことを」。「げに、もつとも道理あり」と、すなはち棒2)をもつて、かれが鼻をはりたり。大きに血流る。「これは」と怒(いか)れば、「それこそ、『はなは紅(くれなゐ)に3)』」。

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一 京の町にてしたれ柳の物見なるをもちありく
  人此柳を見付ことはりもなくをしてとるこは
  なんぞ狼藉(らうせき)なりしらすや柳はみどりといふ
  事を実尤道理(げにもつともたうり)ありとすなはち奉(ほう)をもつ
  てかれか鼻(はな)をはりたり大に血なかるこれはと
  いかれはそれこそはなはくれなゐに/n8-14r
1)
緑・見取り。「柳緑花紅真面目」による。蘇軾の詩句とされる禅語。
2)
底本表記「奉」
3)
花・鼻
text/sesuisho/n_sesuisho8-030.txt · 最終更新: 2022/10/16 12:04 by Satoshi Nakagawa