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text:sesuisho:n_sesuisho8-014

醒睡笑 巻8 頓作

14 宗長紫野に居住の時延暦寺なる知音の坊より人を出だし・・・

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宗長、紫野に居住の時、延暦寺なる知音の坊より人を出だし、「俳諧の発句望み候ふ。この夕(ゆふべ)、夜咄(よばなし)にたより、われ人案じて遊ばん」と言ひ送りければ、

  猿の尻木がらし知らぬ紅葉かな

使(つかひ)取りて出でしを、また呼び戻し、「児たちもゐ給はんや」。「なかなか」と言ふに、「猿の面(つら)」と直されし1)

沢庵、堺にて冬の当座、

  猿の尻ぬらすや時雨松ふぐり

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一 宗長(さうちやう)紫野(むらさきの)に居住(きよちう)の時延暦寺(ゑんりやくし)なる知音(ちいん)の
  坊(はう)より人を出し俳諧(はいかい)の発句(ほつく)望(のそ)み候此夕
  夜咄(はなし)にたより我人案してあそばんといひ
  送りけれは
   猿(さる)の尻(しり)木からししらぬ紅葉かな
  使とりて出しを又よひ戻し児達もゐたま/n8-8l
  はんや中々といふに猿のつらとなをたれし
  沢庵(たくあん)境(さかひ)にて冬の当座(たうさ)
   猿の尻ぬらすや時雨松ふくり/n8-9r
1)
「直されし」は底本「なをたれし」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho8-014.txt · 最終更新: 2022/10/02 22:34 by Satoshi Nakagawa