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醒睡笑 巻7 思の色を外にいふ

1 一村の庄屋たる者余の郷に聟あり・・・

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一村の庄屋たる者、余の郷(がう)に聟あり。かしこに惣領(そうりやう)をまうけたる祝言(しうげん)とて、一在所(ひとざいしよ)みな行く。その中に若輩あり。上座より出だす多少を見合はせ、「われも時宜をせん」と思ひ、内より代二百つないで懐中せしが、「百は少なし、二百は多し」と思案するまに、はや手前へきそひたれば、礼式(れいしき)を手に持ち、出だしざまに、「めで出たう」とは言はず、「御大儀(ごたいぎ)でござれども」。

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醒睡笑巻之七
   思の色を外にいふ
一 一村の庄屋たる者餘郷(よのがう)に聟ありかしこ
  に惣領をまうけたる祝言とて一在所皆行
  其中に若輩(しやくはい)あり上座より出す多少(たせう)
  を見合我も時宜(じき)をせんとおもひ内より代弐
  百つないで懐(くわい)中せしが百はすくなし二百
  はおほしと思案(しあん)するまにはや手前へき
  そいたれは礼式(れいしき)を手にもちいだしさまに/n7-3l
  目出たうとはいはず御大儀て御座れども/n7-4r
text/sesuisho/n_sesuisho7-001.txt · 最終更新: 2022/06/12 12:44 by Satoshi Nakagawa