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醒睡笑 巻6 推はちがうた
18 備前の国岡山にそこにべといふ魚あり・・・
校訂本文
備前の国岡山に、「そこにべ」といふ魚あり。余国にまれなり。太守浮田直家1)より、芸州小早川隆景、備中笠岡の城におはしける時、かの魚を送らるる。隆景、侍に仰せ、「夜中(やちゆう)に備前よりそこにべが来たほどに、家老の衆に今朝振舞ふべきよし申せ」とあれば、かせ者まはりて、「備前より今夜、そこにべ殿お越しにて候ふ。今朝振舞ひあり。出仕あれ」とぞ申しける。おのおの慇懃(いんぎん)に出で立ち参らるるに、客とてはなし。出でたる膳部を見れば、そこにべの汁なり。右の様子を申されて、大笑ひありしなり。
翻刻
一 備前の国岡山にそこにべといふ魚あり餘国 にまれなり大守浮田直家より藝州小 早川隆景備中笠岡の城におはしける時彼魚 を送らるる隆景侍に仰せ夜中に備前より/n6-49r
そこにべか来たほどに家老の衆に今朝ふる まふべきよし申せとあればかせ者まはりて備 前より今夜そこにへ殿お越にて候今朝振 舞あり出仕あれとそ申けるをのをの慇懃 に出立参らるるに客とてはなし出たる膳部を見 れはそこにへの汁也右の様子を申されて大笑有し也/n6-49l
1)
宇喜多直家
text/sesuisho/n_sesuisho6-101.txt · 最終更新: 2022/05/27 22:53 by Satoshi Nakagawa