text:sesuisho:n_sesuisho6-087
醒睡笑 巻6 推はちがうた
4 一休伊勢の浅間にしばらく住山ありし・・・
校訂本文
一休1)、伊勢の浅間2)にしばらく住山ありし。常ならぬ人の様に沙汰しあへり。山田の宿老たる人、親の志を勤むる時、斎(とき)を参らせけるに、白衣(びやくえ)にて渡らせ給ふ。見るから驚き、「これは異な者や。不思議の風情なるかな」と、ささやきぬるを聞き、斎終りに、硯と紙を乞ひ、
着たりとよ心の内の墨染(すみぞめ)を世渡り衣(ごろも)上にこそ着ね
翻刻
一 一休伊勢の浅間にしはらく住山ありし常 ならぬ人の様に沙汰しあへり山田の宿老 たる人親のこころさしをつとむる時斎を参/n6-42l
らせけるに白衣にて渡らせ給ふ見るから驚き これはいな者や不思儀の風情なるかなとささ やきぬるをききて斎おはりに硯と紙をこひ きたりとよ心の内の墨染を 世わたり衣うへにこそきね/n6-43r
text/sesuisho/n_sesuisho6-087.txt · 最終更新: 2022/05/17 22:56 by Satoshi Nakagawa