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醒睡笑 巻6 推はちがうた
2 馬喰のもとにて馬を買ふ・・・
校訂本文
馬喰(ばくらう)のもとにて馬を買ふ。「目・爪・髪・鞍下、そのほか揃うたる」と讃むる時、「川渡りは良きか」と問ふ。「中々のこと。川は鵜ぢや」。「めでたし」とて、わめき戻りしが、十日ばかり過ぎ、荷を付け川を渡るに、中ほどにて、だうど伏したり。飼ひ主、気をそこなひ、馬喰がもとに来たり、存分を言ひけるに1)、「さればこそ、『川は鵜ぢや』と申したは。鵜といふ鳥の、水を見て入らぬやあらん」。
翻刻
一 はくらうのもとにて馬をかう目爪髪鞍下其 外そろふたるとほむる時川わたりはよきかととふ 中々の事河は鵜じやめてたしとてわめきも とりしか十日斗過荷をつけ川をわたるに 中ほとにてたうとふしたりかひぬし気をそこ なひばくらうがもとに来り存分をいひけるよ されはこそ川は鵜じやと申たは鵜といふ鳥の 水をみていらぬやあらん/n6-42r
1)
「に」は底本「よ」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho6-085.txt · 最終更新: 2022/05/17 16:22 by Satoshi Nakagawa