text:sesuisho:n_sesuisho6-068
醒睡笑 巻6 恋のみち
9 東にて都の若き商人とその宿なる中居の女房にあひ馴れ・・・
校訂本文
東(あづま)にて、都の若き商人と、その宿なる中居の女房にあひ馴れ、このごろむつまじくたはぶれ、男、三味線1)を弾き2)おもしろく興ぜしも、ほどなう帰るころになりぬ。
女、やるかたなく名残を惜しむあはれさに、「何をがな」とて、一しゆの三味線をつかはし、立ち別れんとするに、女、
形見とて緒付け板をばさつくれて今朝行くべいか味気なの身や
翻刻
一 東にて都のわかき商人と其宿なる中居 の女房に相馴此比むつましくたはふれ男 紗微線をひさおもしろく興せしもほとな ふかへる比になりぬ女やるかたなく名残を惜 あはれさになにをかなとて一しゆのしやみせんを/n6-33l
つかはし立わかれんとするに女 かたみとて緒つけ板をはさつくれて けさいくへいかあちきなの身や/n6-34r
text/sesuisho/n_sesuisho6-068.txt · 最終更新: 2022/05/08 18:16 by Satoshi Nakagawa