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醒睡笑 巻6 児の噂
42 ある法師のもとより二人おはして遊ばるる児のもとへ座禅大豆を・・・
校訂本文
ある法師のもとより、二人おはして遊ばるる児のもとへ、座禅大豆を少し送りたりしことあり。大児(おほちご)、嬉しげに手を出し、はばからずつかまんとしけるを、小児(こちご)ちやくと手をとらへ、「そのやうに不得心(ふとくしん)な風情、陰より人の見る目をもかへりみ給へ」とて、箸を二膳取り来たり。一膳を見渡し、「大児役(おほちごやく)に二粒(ふたつぶ)づつお参れ。われは小児役に、一粒づつ給はらん」と言ふ。挟むに、大児はともすれば挟みはづし、小児の矢先(やさき)はづれず。ほしりほしりと当りしことよ。
翻刻
一 ある法師のもとより二人おはしてあそばる る児のもとへ座禅大豆を少をくりたりし 事あり大児嬉しけに手を出しはばからずつ かまんとしけるを小児ちやくと手をとらへその/n6-20l
やうにふとくしんな風情影より人のみる目を もかへり見たまへとて箸を二膳とりきたり一 膳を見わたし大児役に二つぶつつおまい れ我れは小児役に一つふつつ給はらんといふはさ むに大児はともすれははさみはづし小児の矢 さきはつれすほしりほしりとあたりし事よ/n6-21r
text/sesuisho/n_sesuisho6-042.txt · 最終更新: 2022/04/27 22:29 by Satoshi Nakagawa