text:sesuisho:n_sesuisho6-015
醒睡笑 巻6 児の噂
15 ふと人の来たりて児に向かひ法印はいづくにわたり候ふぞと尋ぬれば・・・
校訂本文
ふと人の来たりて児(ちご)に向かひ、「法印はいづくにわたり候ふぞ」と尋ぬれば、「護摩堂にかきしてござるは」。「『かき』とは何事ぞ」。「経・陀羅尼を読みて、といふことよ」。「それをば『かんきん1)』とぞいふものなれ」。「あこもそれほどのことは知りたれど、ひもじさに、『かん』とも『きん』とも、はねられぬは2)」。
ひだるさと寒さと恋と比ぶれば恥かしながらひだるさぞます
翻刻
一 ふと人の来りて児にむかひ法印はいづく にわたり候そと尋れは護摩堂にかきして/n6-10r
御座るはかきとは何事ぞ経陀羅尼をよみ てといふ事よそれをばかんきんとそいふ物なれ あこもそれほとのことはしりたれとひもしさにかん ともきんともはれらぬは ひたるさと寒さと恋とくらふれは はつかしなからひたるさそます/n6-10l
text/sesuisho/n_sesuisho6-015.txt · 最終更新: 2022/04/21 11:01 by Satoshi Nakagawa