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text:sesuisho:n_sesuisho6-003

醒睡笑 巻6 児の噂

3 年の暮れになれば家内上下の定器どもを侍従あつらへんと言ふを聞いて・・・

校訂本文

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年の暮れになれば、家内(けない)上下の定器(ぢやうぎ)どもを、侍従あつらへんと言ふを聞いて、小児(こちご)、傍らに侍従を招き言はれけるやう、「あこがをば、いかにも御器(ごき)を木薄(きうす)に底をくりて広うあつらへて」と頼まれけるに、「いや、それは飯(めし)を漏り切りにする時よかるべし。この山のは、いづれもいづれも物相(もつさう)にて候へば、器物(うつはもの)の大小にはよらず候ふ」と、つぶさに語りければ、「いや、ただあが言ふごとくあつらへ給へ。自然(じねん)、粥と入れ仏事どきがあるはよの」と。

この児を代官にほしや1)

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一 年の暮になれは家内上下の定器ともを侍
  従あつらへんといふをきいて小児かたはらに侍従
  をまねきいはれけるやうあこがをはいかにも御
  器を木うすにそこをくりてひろふあつらへて
  とたのまれけるにいやそれはめしをもりきりに
  する時よかるへし此山のはいつれもいつれも物相にて
  候へはうつは物の大小にはよらす候とつふさにかたり
  けれはいやたたあかいふことくあつらへたまへ自/n6-4l
  然粥といれふつじ時があるはよのと
     此児を代官にほしや/n6-5r
1)
底本、この文数文字下げで小書き。
text/sesuisho/n_sesuisho6-003.txt · 最終更新: 2022/04/21 10:53 by Satoshi Nakagawa