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text:sesuisho:n_sesuisho5-039

醒睡笑 巻5 婲心

39 光源院殿京都四条道場に陣を取りて御ましありし時・・・

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光源院殿1)、京都四条道場に陣を取りて御ましありし時、夜九つの太鼓を寝ほれ、七つの時打ちけり。公方(くばう)より御使ありて番の僧2)を召す。「さだめて折檻に及びなん」と、ふるふふるふ参りければ、様子御尋ねありつるに、「さん候ふ。深く睡り目覚め仰天つかまつりてのゆゑ」と、ありのまま申し上げければ、案の外(ほか)御機嫌よくて、

  この寺の時の太鼓は磯の波おきしたいにぞ打つといふなる

とあそばされ、後には方兄(はうひん)を与へ給ひぬとなん。

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一 光源院(くわうげんゐん)殿京都四条道場に陣(ぢん)を取(とり)て御座
  ありし時夜九つの大鼓をねほれ七つの
  時打けり公方より御使ありて番の僧(俗か)を召/n5-21r
  さためて折檻に及びなんとふるふふるふ参ければ
  やうす御尋ありつるにさん候深睡目覚仰
  天仕ての故とありのまま申上けれは案
  の外御機嫌よくて
   この寺の時の大鼓は磯の浪
    おきしたいにそうつといふなる
  とあそばされ後には方兄(はうひん)をあたへ給ひぬとなん/n5-21l
1)
足利義輝
2)
底本「俗か」と傍書。
text/sesuisho/n_sesuisho5-039.txt · 最終更新: 2022/03/03 22:50 by Satoshi Nakagawa