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text:sesuisho:n_sesuisho5-009

醒睡笑 巻5 婲心

9 普光院御所へ重宝の剣を進上す・・・

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普光院1)、御所へ重宝の剣を進上す。すなはち科人(とがにん)を召し出だし、「切りて見ん」と引きすゑたるを、「あなたへなほして切れ」とある。

その時かの科人、「しばらく待たせられよ。存ずる旨(むね)を申さん」と、

  洗ひ干す賤(しづ)がつづりの竿ずくみ引き直さねばきられざりけり

これを聞こし召され、「やさしき者の心や」とて、命を許されけるとなん。

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一 普光(ふくわう)院御所へ重宝の釼(けん)を進上す則科(とが)人
  を召出しきりて見んとひきすへたるをあな
  たへなをしてきれとある其時彼科人しばらく/n5-7r
  またせられよ存ずる旨を申さんと
   あらひほすしづかつづりのさほずくみ
    ひきなをさねはきられさりけり
  是をきこしめされやさしきものの心やとて
  命をゆるされけるとなん/n5-7l
1)
普広院。足利義教
text/sesuisho/n_sesuisho5-009.txt · 最終更新: 2022/02/20 21:44 by Satoshi Nakagawa