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text:sesuisho:n_sesuisho4-105

醒睡笑 巻4 唯あり

16 一人はともかくも世を過ぐしかねず一人は手前衰へたると・・・

校訂本文

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一人は、「ともかくも世を過ぐしかねず」、一人は、「手前衰へたる」と、旧友両人出で合ひ、貧(ひん)なる身の、しみじみ1)と、とぼしき物語にて、立ちたるあとより、

  有る時は有るにまかせて過ぎてゆけまた無き時は無きにまかせて

と読みて送りし返事に、

  有る時は有るにまかせて過ぎしかどまた無き時はえこそまかせね

  わが世諦2)あがる雲雀(ひばり)のごとくにてさがることこそ矢より早けれ

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一 一人は兎も角も世を過かねす一人は手前
  おとろへたると旧友両人出合貧(ひん)なる身の
  しはしはととほしき物語にて立たる跡より
   ある時はあるにまかせて過てゆけ
   又なき時はなきにまかせて
  とよみて送し返事に
   ある時はあるにまかせて過しかと
   又無時はえこそまかせね/n4-61l
  我世諦あかる雲雀のごとくにて
  あかる事こそ矢よりはやけれ/n4-62r
1)
「しみじみ」は底本「しはしは」。諸本により訂正。
2)
せたい。「世帯」に同じ。
text/sesuisho/n_sesuisho4-105.txt · 最終更新: 2022/02/05 16:17 by Satoshi Nakagawa