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text:sesuisho:n_sesuisho4-050

醒睡笑 巻4 そでない合点

8 能を見物せんとて芝居銭十文つかはし・・・

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能を見物せんとて、芝居銭(しばゐせん)十文つかはし、鼠戸(ねずみど)をば入りしかど、一円おもしろき心なかりしかば、退屈して外へたきよしを言ふ。番する者、口にて1)さらに許さず。

「さあらば、いかほどにても、銭をやらん」とわびたるに、百とりてぞ許しける。かの男、やうやう垣(かき)の外に出で、笠を脱ぎてから、世上をながめ、二つ三つ頭(あたま)を振りて、あげくに、「百ではでものぢや」と。

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一 能を見物せんとて芝居銭(しはゐせん)十文つかはし
  鼠戸(ねつみと)をは入しかと一円おもしろき心なかりし
  かは退屈(たいくつ)してそとへ出度よしをいふ番する者
  口候はゝさらにゆるさすさあらはいかほとにても
  銭をやらんとわひたるに百とりてそゆるし
  ける彼男やうやう垣(かき)のそとに出(いて)笠(かさ)をぬき
  てから世上をなかめふたつ三つあたまを
  ふりてあけくに百てはてものじやと/n4-38l
1)
「口にて」は底本「口候はゝ」か。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho4-050.txt · 最終更新: 2021/12/10 22:41 by Satoshi Nakagawa