text:sesuisho:n_sesuisho2-071
醒睡笑 巻2 吝太郎(しはたらう)
1 人ありて無心の申しごとなれど晴れがましきところに出で候ふ条・・・
校訂本文
人ありて、「無心(むしん)の申しごとなれど、晴れがましきところに出で候ふ条(でう)、貴所(きしよ)の綾の小袖を、そとの間お貸しあれ」と文をやりたれば、返事に、「やすきほとの御用なれど、それへ小袖を貸したらば、人の聞きて、われを『あやかし1)』と言はん。また貴所をも『あやかり2)』とや申さんなれば、わざと参らせぬ」とこそ書きたりけれ。
翻刻
吝太郎 一 人ありて無心の申事なれとはれかましき 処に出候条貴所の綾の小袖をそとのま おかしあれと文をやりたれば返事に やすきほとの御用なれとそれへ小袖をかし たらは人のききてわれをあやかしといはん 又貴所をもあやかりとや申さんなれは態 まいらせぬとこそかきたりけれ/n2-38l
text/sesuisho/n_sesuisho2-071.txt · 最終更新: 2021/08/17 17:17 by Satoshi Nakagawa