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醒睡笑 巻1 鈍副子
26 田舎より主従二人始めて上洛し京の町に逗留せし・・・
校訂本文
田舎より主従二人、始めて上洛(しやうらく)し、京の町に逗留(とうりゆう)せし。休息の後、見物に出づる。下人に向ひ、「都はいづれも同様なる家作りなり。よくよく目印(めじるし)をせよ」と教ゆる。
「心得たり」と領状せしが、晩にのぞみ宿を知らず。主、腹を立て叱る。返事に、「いや門の柱に唾(つばき)にて書き付けをたしかにつかまつりしが消えて見え候はず。その上になほ念を入れ、屋根の上に鳶の二つありしを目付けにしたりしが、それも異なことで見えぬ」と。
翻刻
一 田舎より主従(しうしゆう)二人始て上洛し京の町に逗 留せし休息の後見物に出る下人にむかひ都は いつれも同様なる家作なりよくよく目しるし をせよとをしゆる心得たりと領状せしか晩(はん)に のそみ宿をしらす主腹をたてしかる返事に いや門の柱に唾(つはき)にて書付をたしかに仕し か消(きえ)て見え候はす其上に猶念を入れ屋ねの 上に鳶の二つありしを目付にしたりしが/n1-59r
それもいな事て見えぬと/n1-59l
text/sesuisho/n_sesuisho1-123.txt · 最終更新: 2021/05/23 16:55 by Satoshi Nakagawa