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text:sesuisho:n_sesuisho1-009

醒睡笑 巻1 謂へば謂はるる物の由来

9 河内の国に珍といふあり大和に場といふあり・・・

校訂本文

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河内の国に珍(ちん)といふあり。大和に場(ば)といふあり。二人ながら兵法の上手なりしが、ある時試合せし。双方、片足を落し落され、すでに死にのぞむ時、金瘡(きんさう)の上手とて来たる。あまり慌てふためき、そのぬしぬしの足をば取り違(ちが)へ、わがを人に、人のをわがに継ぎかへたり。

さるまま1)、一人は足長くなり、一人は足短かくなり、腰を引きしより、今もかかる歩(あり)きの人を、「ちんば」とはいふよし。

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一 河内の国に珍(ちん)といふあり大和に場(ば)といふあ
  り二人なから兵法(へうほう)の上手なりしか有時し
  あひせし双方(さうはう)片足(かたあし)をおとしおとされすてに
  死にのそむ時金瘡(きんさう)の上手とて来るあまり
  あはてふためき其ぬしぬしの足をばとりちかへ
  我かを人に人のを我かにつきかへたりさかまま
  一人は足なかくなり一人は足みじかくなり腰を
  ひきしより今もかかるありきの人をちん/n1-8r
  はとはいふよし/n1-8l
1)
「さるまま」は底本「さかまゝ」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho1-009.txt · 最終更新: 2021/04/01 21:18 by Satoshi Nakagawa