text:myotatsu:ka_myotatsu22
22 僧観し
校訂本文
妙達、申して申さく、「今は昔、正しく見し法師の、生まれてあらむ所を承りて、まかり帰らむ」と申す時に、閻魔王のたまはく、「よくよく聞き持(たも)ちてまかり帰るべし。なんぢが住む国1)、たかとの郡2)したかもり寺の僧観しは、生きたりし時、心清く行ひて、口に五穀(ごこく)を断てり。この功徳によりて霊鷲山(りやうじゆせん)といふ山にて、常に仏の説き給ふ法(のり)を聞く。
翻刻
ラ国ノ第一ノ人トナレリ妙達申テ申サクイマハムカシタタシク ミシ法師ノムマレテアラム所ヲウケ給テマカリカヘラムト申時ニ閻魔 王ノ給ハクヨクヨクキキタモチテマカリ帰ヘシ汝カスム国タカトノ郡 シタカモリ寺ノ僧観シハイキタリシ時心キヨクオコナヒテ口ニ五 穀ヲタテリ此功徳ニヨリテ霊鷲山ト云山ニテ常ニ仏乃 説給ノリヲキク/n2-56l・e2-53l
text/myotatsu/ka_myotatsu22.txt · 最終更新: 2024/10/09 22:50 by Satoshi Nakagawa