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text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka14-08

蒙求和歌

第14第8話(208) 広漢鉤距

校訂本文

広漢鈎距 漢代涿郡人也

後漢の代、趙の広漢1)といふ人あり。廉潔なるゆゑをもて世に仕へて2)、若くして涿郡の史となり、京兆尹に移れり。鈎距をして、ものの心を得て、盗賊をおさめし、人みな称伏せり。

鉤距は、馬を問はむとて、まづ犬を問ひ、羊問ひて、次に馬を問ふなりと言へり。鉤距といへるは、鉤は求め致(いた)して、その心を得るなり。距は心に隠して謀るなり。馬を問はむ時、犬・羊を問ひて、その後、馬あたひに及ぶといへり。

  近付かむ羊の歩み悟りえてのちぞひま行く駒を知りける

翻刻

広漢鈎(コウ)距(キョ) 漢代涿(タク)郡人也/d2-42r
後漢ノ代趙ノ広漢トイフ人アリ廉潔ナルユエヲモテヨニツカ
カヘテ少シテ為リ涿郡ノ史京兆尹(イム)ニウツレリ鈎距ヲシ
テモノノココロヲエテ盗賊ヲヲサメシ人ミナ称伏セリ鈎距ハ
馬ヲトハムトテマツ犬ヲトヒヒツシトヒテツキニムマヲトフナリト云リ
鈎距トイヘルハ鈎ハ求(モトメ)致(イタシ)テソノココロヲウルナリ距ハココロニカクシテ
ハカルナリ馬ヲトハムトキイヌヒツシヲトヒテソノノチムマアタヒニヲ
ヨフトイヘリ  チカツカムヒツシノアユミサトリエテ
               ノチソヒマユクコマヲシリケル/d2-42l
1)
趙広漢
2)
「仕へて」は底本「ツカカヘテ」。「カ」の衍字とみて一字削除。
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka14-08.txt · 最終更新: 2018/03/17 22:52 by Satoshi Nakagawa