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text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka12-05

蒙求和歌

第12第5話(175) 蔡琰辨琴

校訂本文

蔡琰辨琴

蔡琰、字(あざな)は文姫、蔡邕が女(むすめ)なり。

蔡琰、九歳なりけるとき、蔡邕、夜、琴を弾くに、あやまちて一つの絃を切りてけり。蔡琰に、「いづれの音とか聞く」と問へば、「第二の緒(を)なり」と言ふ。また、わざと一つの緒を切りて問ふに、「第四の緒なり」と言ふ。悟れる所、いづれもたがふことなし。

蔡琰がいはく、「昔、季札、風1)を観て興亡の国を知り、師曠は律を吹きて、南風の競はざることを知れりき。これをもてこれを推すに、何ぞそれをも知らざらむ」と言ひけり。2)

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蔡(サイ)琰(エム)辨(ヘム)琴  〃〃アサナハ文姫(キ)蔡邕カムスメナリ/蔡琰九歳ナリケルトキ蔡邕ヨル
琴ヲヒクニアヤマチテヒトツノ絃ヲキリテケリ蔡琰ニイツ
レノヲトトカキクトトヘハ第二ノヲナリト云又ワサトヒトツノヲヲキリ/d2-29l
テトフニ第四ノヲナリト云サトレル所イツレモタカフ事ナシ蔡
琰カ云ク昔季札観(テ)化(ヲ)興亡ノ国ヲシリ師曠ハ律ヲ
フキテ南風ノ不(ル)競(ハ)コトヲシレリキコレヲモテコレヲヲスニ
何ソソレヲモシラサラムト云ケリ/d2-30r
1)
「風」は底本「化」。原拠により訂正。なお、書陵部本は「他」。
2)
底本及び諸本、和歌を欠く。
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka12-05.txt · 最終更新: 2018/02/26 21:55 by Satoshi Nakagawa