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蒙求和歌
第4第8話(63) 蒼頡制字 千鳥
校訂本文
蒼頡制字 千鳥
蒼頡は、黄帝の史官なり。賢才並びなかりし人なり。
鳥の跡を見て、文字を作りしなり。鳥獣の跡をみて分理(ぶんり)を悟りわきまへけりとも言へり。蒼頡、字を作りしかば、鬼、夜哭(こく)しけりと言へり。
字に六の体(てい)を分かてり。一にいはく、象形。二にいはく、象事。三にいはく、象意。四にいはく、象声。五にいはく、転注。六にいはく、仮借なり。
蒼頡の塚は馮州県の利陽に在り。墳(つか)の高さ六尺なり。書を好みし者1)ことごとくに、この墓に来て、姓名を書きて置けり。
浜千鳥昔の跡をたづねてぞ筆の海をば汲むべかりける
翻刻
蒼頡制字 千鳥 〃〃ハ黄帝ノ史官也賢才ナラヒナカリシ人也鳥ノ跡ヲ ミテ文字ヲツクリシナリ鳥獣ノアトヲミテ分理(フンリ)ヲサト リワキマエケリトモ云リ蒼頡字ヲツクリシカハ鬼(ヲニ)夜(ヨル)哭(コク)シケリ/d1-31l
ト云リ字ニ六ノ体(テイヲ)ワカテリ一云象形二云象事三云象 意四云象声五云転注六云仮(カ)借也蒼頡塚在 馮(ハウ)州県ノ利陽墳(ツカノ)高サ六尺也書ヲコノムシモノコトコトクニ コノハカニ来テ姓名ヲカキテヲケリ ハマチトリムカシノアトヲタツネテソフテノウミヲハクムヘカリケル/d1-32r
1)
「好みし者」は底本「コノムシモノ」。文意によって改めた。
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka04-08.txt · 最終更新: 2017/11/15 21:48 by Satoshi Nakagawa