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text:k_konjaku:k_konjaku_hanrei

文書の過去の版を表示しています。


攷証今昔物語集 凡例

  1. 今昔物語は我が国の最古最貴の説話集である。今其の出典を攷証し、名づけて「攷証1)今昔物語集」と題し、稿本ながら出版する。考拠の研究のまだ分らぬものも沢山あるが、それ等は他日の研究に待ちたいと思ふ。
  2. 岡本保孝の今昔物語出典考は本書攷証の基礎となつたものであるが、同書未考の説話を攷証し得たことも決して少なくないと信ずる。
  3. 仏典は種類甚だ多く、其の説くところ大同小異である。本書に引いたのは比較的本文に近い例文を挙げたのに過ぎぬ。尚法苑珠林に挙げたものは、源経を待たずして、直ちに同書を引いた。同書は唐の高宗総章元年、即ち我が天智天皇元年の述作で、今昔物語の作者が必ず目に触れたものに相違ないとおもふからである。
  4. 其の他、仏祖統記、経律異相、三宝感応要略録、太平広記、淵鑑類函等の類書中から挙げ、此等の書にないものに限って、原本から採った。そは読者の検索上に便利だらうと思つたからである。
  5. 攷証の文を引くに当たって、原文を全部採らず、本文に必要な部分だけを節略して載せたものもある。
  6. 本書中目次ばかりあって、本文の欠けたものは、目次によって出典を掲げた。本文の半途で欠けたものも同様である。巻一第二十話、及び第二十四話、巻四二十三話などがそれである。
  7. 考証文の中、書名に○印を付けたのは本文の出典と見做すべきもので、◎印を付けたのは類話、●2)印を付けたのは同一説話で他書に散見したものである。尚同一説話の諸書に転載せられて居るのは、格段の末に何々書参閲とのみ注記したものも多い。
  8. 今昔物語集本文の校正も亦大に意を致したので、底本には東京大学所蔵田中頼庸の旧蔵本を用ゐた。これは竪一尺一寸横七寸八分の大本、薄葉雁皮に写したもので、伝来は詳ならぬが、頗る古い系統の本らしい。尚左記諸本によって校合し、文字の異同をただし、異同の著しいものは
1)
底本は小書きで横に並んでいる。
2)
底本では○の中に●
text/k_konjaku/k_konjaku_hanrei.1399058122.txt.gz · 最終更新: 2014/05/03 04:15 by Satoshi Nakagawa