text:ise:sag_ise027
第27段 昔男女のもとに一夜行きてまたも行かずなりにければ・・・
校訂本文
昔、男、女のもとに一夜(ひとよ)行(い)きて、またも行(い)かずなりにければ、女の、手洗ふ所に貫簀(ぬきす)をうちやりて、盥(たらひ)の影に見えけるを、みづから、
わればかり物思ふ人はまたもあらじと思へば水の下にもありけり
と詠むを、来ざりける男、立ち聞きて、
水口(みなくち)にわれや見ゆらむ蛙(かはづ)さへ水の下にて諸声(もろごゑ)に鳴く
挿絵
翻刻
昔おとこ女のもとにひと夜いきて又もい/s42l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/42?ln=ja
かすなりにけれは女のてあらふ所に ぬきすをうちやりてたらひのかけに見え けるをみつから われはかり物思ふ人はまたもあらし とおもへは水のしたにもありけり とよむをこさりけるおとこたちききて みなくちに我や見ゆらむかはつさへ 水のしたにてもろこゑになく/s43r
【絵】/s43l
text/ise/sag_ise027.txt · 最終更新: 2023/12/20 22:19 by Satoshi Nakagawa