text:ise:sag_ise023a
第23段(1) 昔田舎わたらひしける人の子ども井のもとに出でて遊びけるを・・・
校訂本文
昔、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとに出でて遊びけるを、大人になりにければ、男も女も恥ぢかはしてありければ、男は、「この女をこそ得め」と思ふ。女は、「この男を」と思ひつつ、親のあはすれども聞かでなむありける。
さて、この隣の男のもとより、かくなん、
筒井(つつゐ)つの井筒(ゐづつ)にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹(いも)見ざるまに
返し
比べ来しふりわけ髪も肩すぎぬ君ならずして誰(たれ)か上ぐべき
など言ひ言ひて、つひに本意(ほい)のごとくあひにけり。
挿絵
翻刻
昔ゐなかわたらひしける人のことも井 のもとにいててあそひけるをおとなに なりにけれはおとこも女もはちかはして ありけれはおとこはこの女をこそえめと 思ふ女はこの男をと思ひつつおやのあは すれともきかてなむありけるさてこのと なりのおとこのもとよりかくなん つつゐつの井つつにかけしまろかたけ すきにけらしないもみさるまに/s36r
返し くらへこしふりわけかみもかたすきぬ きみならすしてたれかあくへき なといひいひてつゐにほいのことく あひにけり/s36l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/36?ln=ja
【絵】/s37r
text/ise/sag_ise023a.txt · 最終更新: 2023/12/18 17:59 by Satoshi Nakagawa