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text:ima:s_ima006

今物語

第6話 このころの事かやある田舎人優なる女を語らひて・・・

校訂本文

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このころの事かや、ある田舎人、優(いう)なる女を語らひて、京(みやこ)に住み渡りけるが、とみのことありて、田舎へ下りなんとしける。

その夜となりて、この女、例ならずうちしめりて、後ろ向きて寝たりけるを、男、いたう恨みてけり。「いつまでか、かくも厭(いと)はれ参らせむ。ただ今ばかり、向き給ひてあれかし」と言ひけるに、この女、

  いまさらに背(そむ)くにはあらず君なくてありぬべきかと慣らふばかりぞ1)

と言ひたりければ、男、愛(め)で惑(まど)ひて、田舎下り止まりにけるとかや。

いとやさしくこそ。

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このころの事かやあるゐなか人いうなる女をかたらひ
て宮こにすみわたりけるかとみの事ありてゐ中へ
くたりなんとしけるそのよとなりて此女れいならす
うちしめりてうしろむきてねたりけるをおとこいたう/s7l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100188642/7?ln=ja

恨てけりいつまてかかくもいとはれまいらせむたた
いまはかりむき給ひてあれかしといひけるにこのをんな
  いまさらにそむくにはあらす君なくてありぬへきかとならぬはかりそ
といひたりけれはおとこめてまとひてゐなかくたりとま
りにけるとかやいとやさしくこそ/s8r

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100188642/8?ln=ja

1)
底本「ならぬばかりぞ」。諸本により訂正。
text/ima/s_ima006.txt · 最終更新: by Satoshi Nakagawa