text:chomonju:s_chomonju704
古今著聞集 魚虫禽獣第三十
704 宮内卿家隆卿秘蔵の鵯荻の葉といふを子息の侍従隆祐にあづけて・・・
校訂本文
宮内卿家隆卿1)、秘蔵の鵯(ひよどり)荻の葉といふを、子息の侍従隆祐2)にあづけて飼はせけるを、侍従、住吉へ3)持ちて下りたりけるを、取り4)にやるとて、葉山といふ鳥を代りにやりたりければ、侍従、「荻の葉を送る」とて、鳥に付け侍りける、
凉しさはは山のかげも変はらねどなほ吹き送れ荻の上風(うはかぜ)
この歌を感じて、やがてまた荻の葉を返しやるとて、
宮内卿
これもまたあきの心ぞ頼まれぬ葉山にかはる荻の上風
翻刻
宮内卿家隆卿秘蔵の鵯おきの葉といふを子息の 侍従隆祐にあつけてかはせけるを侍従すみよふもち てくたりたりけるをともにやるとては山といふ鳥を かはりにやりたりけれは侍従おきの葉を送ると て鳥につけ侍ける すすしさはは山のかけもかはらねと猶ふきをくれ荻のうは風/s549r
この哥を感してやかて又おきの葉をかへしやるとて 宮内卿 これも又秋の心そたのまれぬ葉山にかはるおきのうは風/s549l
text/chomonju/s_chomonju704.txt · 最終更新: 2021/01/24 12:59 by Satoshi Nakagawa