text:chomonju:s_chomonju673
古今著聞集 魚虫禽獣第三十
673 右近少将広継朝臣大宰少弐になりて・・・
校訂本文
右近少将広継朝臣1)、大宰少弐になりて、天平十二年、宰府2)に下りたりけるに、十月のころ、郭中に一声につづけて七声いばゆる馬の声聞こえけるを尋ねて、高直に買ひ取りて、いたはり飼ひければ、竜馬にてぞありける。
それに乗りて、午刻よりかみには都府の政(まつりごと)にしたがひ、午時より後には朝家の公事をぞ勤めける。一千五百里の道を時の間に通ひける、直人(ただびと)にはあらず。つひにかの少将は神となりて、鏡の尊廟3)とぞ申すなる。昔の館、かの社のほどにてなん侍るとぞ。
翻刻
右近少将広継朝臣太宰少弐になりて天平十二年 宰府にくたりたりけるに十月の比郭中に一声につつ けて七声いはゆる馬のこゑきこえけるを尋て高 直に買とりていたはりかひけれは龍馬にてそありける それに乗て午尅よりかみには都府の政にしたかひ午 時より後には朝家の公事をそつとめける一千五百 里の道を時のまにかよひける直人にはあらすつゐ に彼少将は神と成て鏡の尊庙とぞ申なるむかし/s527l
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の館かの社のほとにてなん侍るとそ/s528r
text/chomonju/s_chomonju673.txt · 最終更新: 2021/01/12 21:40 by Satoshi Nakagawa