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text:chomonju:s_chomonju664

古今著聞集 草木第二十九

664 同じ御時内裏にて花合ありけり・・・

校訂本文

同じ御時1)、内裏にて花合(はなあはせ)ありけり。人々、面々に風流をほどこして花奉りけるに、非蔵人孝時2)、大きなる桜の枝を両三人してかかせて、南庭の池の方に掘り立てたりけり。簡(ふだ)を付けて、「大花」と書きたりけり。

このことは、孝道3)が党は、みな鼻の大きなるによりて、院の仰せにも、「鼻が党」とぞありける。これによりて、「大花」と簡を付けたりけり。比興(ひきよう)の沙汰にてぞ侍りける。

翻刻

同御時内裏にて花合ありけり人々めんめんに風流
をほとこして花たてまつりけるに非蔵人孝時大な
る桜の枝を両三人してかかせて南庭の池のかたに/s523r
ほりたてたりけり簡を付て大花と書たりけり
此事は孝道かたうはみな鼻のおほきなるにより
て院の仰にも鼻かたうとそありけるこれにより
て大花と簡を付たりけり比興のさたにてそ侍ける/s523l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/523

1)
順徳天皇。663参照。
2)
藤原孝時
3)
藤原孝道
text/chomonju/s_chomonju664.txt · 最終更新: 2021/01/10 23:12 by Satoshi Nakagawa