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text:chomonju:s_chomonju598

古今著聞集 変化第二十七

598 二条院の御時五節の卯の日の夜主殿司指燭をさして・・・

校訂本文

二条院1)の御時、五節の卯の日の夜、主殿司、指燭(しそく)2)をさして、南殿の東北のすみのはしを通りけるに、後ろより首のほどを押す者ありけり。すなはち主殿司、絶え入りにけり。

あはてて指燭を懐(ふところ)に入れたりけるほどに、衣裳に火燃え付き、すでに死ぬべかりけるが、からくして命ばかりは生きたりけり。化物のしわざにこそ。

翻刻

二条院御時五節卯日の夜主殿司指指燭をさして
南殿の東北のすみのはしをとをりけるにうしろよりくひ/s470l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/470

のほとを押ものありけりすなはち主殿司絶入にけり
あはててしそくをふところにいれたりける程に衣裳に
火もえつきすてにしぬへかりけるかからくして命はかりは
いきたりけりはけ物のしはさにこそ/s471r

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/471

1)
二条天皇
2)
「指燭」は底本「指指燭」。諸本により訂正。
text/chomonju/s_chomonju598.txt · 最終更新: 2020/11/11 18:51 by Satoshi Nakagawa