text:chomonju:s_chomonju127
古今著聞集 文学第五
127 保元二年四月二十八日蔵人所にて直講の試ありけり・・・
校訂本文
保元二年四月二十八日、蔵人所にて直講(ちよくかう)の試ありけり。重憲・師直1)・師尚2)、おのおの屏風を隔てて候ひけり。頭弁範家朝臣3)・蔵人左少弁雅頼4)・蔵人勘解由次官親範5)、所につきたりけり。式部大輔永範朝臣6)、『毛詩7)』・『尚書8)』・『左伝9)』・『礼記』の中に、十の事を記し出だして奉りたりけるを、尋ね下されけり。師直は三事に通じ、重憲・師尚は二事に通じたりけり。
次の日、親範、仰せを承りて、助教師光(師尚父)10)・頼業11)、直講康季を蔵人所に召して評定(ひやうぢやう)せられけり。
師直、傍輩(はうばい)にすぐれたるによりて、五月二日、つひになされにけり。
翻刻
保元二年四月廿八日蔵人所にて直講の試ありけり/s97l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/97
重憲師直師尚をのをの屏風をへたてて候けり頭弁 範家朝臣蔵人左少弁雅頼蔵人勘解由次官親範 所につきたりけり式部大輔永範朝臣毛詩尚書左伝 礼記の中に十の事をしるしいたしてたてまつりたり けるを尋下されけり師直は三事に通し重憲師尚は 二事に通したりけり次日親範仰をうけたまはりて 助教師光(師尚父)頼業直講康季を蔵人所にめし て評定せられけり師直傍輩にすくれたるによりて 五月二日つゐになされにけり/s98r
text/chomonju/s_chomonju127.txt · 最終更新: 2020/02/15 14:50 by Satoshi Nakagawa