text:chomonju:s_chomonju126
古今著聞集 文学第五
126 仁平三年五月二十一日院宣によりて宇治左大臣東三条にて学問料の試を・・・
校訂本文
仁平三年五月二十一日、院宣1)によりて、宇治左大臣2)、東三条にて学問料の試を行はれけり。藤原敦経・菅原登宣・同在清3)・藤原敦綱・同光範4)・菅原在茂等を中島の座にすゑられにけり。
式部大輔永範朝臣5)・文章博士茂明朝臣6)・式部権大輔公賢7)を召して、『左伝8)』・『礼記』・『毛詩9)』を分かち賜びて、題を選ばされけり。
みな紙切に書き分けて、頭弁朝隆朝臣10)をして籤(くじ)に取らせられけり。「礼以行義(礼を以て義を行ふ)」といふことを取りけり。家司(けいし)盛業11)をもて試衆に賜ふ。作り出だすにしたがひてぞ持(も)て参りける。その後、評定(ひやうぢやう)ありけり。
後に院より通憲入道12)にも仰せ合はせられけるとぞ。つひに、光範・登宣ぞ賜はりにける。
翻刻
仁平三年五月廿一日院宣によりて宇治左大臣東三条/s97r
にて学問料の試をおこなはれけり藤原敦経菅原 登宣同在清藤原敦綱同光範菅原在茂等を 中嶋の座にすゑられにけり式部大輔永範朝臣文章 博士茂明朝臣式部権大輔公賢をめして左伝礼記 毛詩を分たひて題をえらはされけりみな紙切に 書分て頭弁朝隆朝臣をしてくしにとらせられけり 礼以行義といふ事をとりけり家司盛業をもて試衆 にたまふ作いたすに随てそもてまいりける其後評 定ありけり後に院より通憲入道にもおほせあはせ られけるとそつゐに光範登宣そたまはりにける/s97l
text/chomonju/s_chomonju126.txt · 最終更新: 2020/02/15 13:24 by Satoshi Nakagawa