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text:chomonju:s_chomonju119

古今著聞集 文学第五

119 白河院の御時高麗国より医師を申したりけるに・・・

校訂本文

白河院1)の御時、高麗国より医師(くすし)を申したりけるに、つかはすべきよし沙汰ありけるに、殿下2)、御夢想のことありて、つかはすまじきになりにけり。

返牒(へんてふ)を匡房卿3)書きけるに、

 双魚難達鳳池之波4) 双魚鳳池の波に達し難し

 扁鵲豈入鶴林之雲5) 扁鵲あに鶴林の雲に入らんや

この句ことなる秀句にて、世の人、讃めののしりけり。

翻刻

白河院御時高麗国より医師を申たりけるにつか
はすへきよし沙汰ありけるに殿下御夢想の事ありて
つかはすましきになりにけり返牒を匡房卿かきけるに
双魚難達鳳池之波(月イ)扁鵲豈(争)入(翔イ)鶴林之雲この句こ
となる秀句にてよの人ほめののしりけり/s92l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/92

1)
白河天皇
2)
藤原師実
3)
大江匡房
4)
底本、「波」に「月イ」と異本注記。
5)
底本、「豈」に「争イ」、「入」に「翔イ」と異本注記。
text/chomonju/s_chomonju119.txt · 最終更新: 2020/02/08 23:25 by Satoshi Nakagawa