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text:chomonju:s_chomonju116

古今著聞集 文学第五

116 不是花中偏愛菊此花開後更無花これは元稹が秀句なり・・・

校訂本文

 不是花中偏愛菊 これ花の中に偏へに菊を愛するにあらず

 此花開後更無花 この花開きて後更に花無ければなり

これは元稹が秀句なり。

隠君子、琴を弾じ給ひける空より、影のやうなる者来たりて言ひけるは、「われこの句を愛す。宿執(しゆくしふ)あるによりて、その感にたへず。ただし、『後』の字を改めて、『尽』とあるべし」と言ひて失せにけり。

翻刻

不是花中偏愛菊此花開後更無花これは元稹か
秀句也隠君子琴を弾し給ける空よりかけのやうなる
ものきたりていひけるは我此句をあいす宿執あるに
よりて其感にたへす但後の字をあらためて尽とある
へしといひてうせにけり/s91l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/91

text/chomonju/s_chomonju116.txt · 最終更新: 2020/02/08 16:48 by Satoshi Nakagawa