text:chomonju:s_chomonju112
古今著聞集 文学第五
112 前途程遠馳思於鴈山之夕雲後会期遥霑纓於鴻臚之暁涙・・・
校訂本文
「前途程遠。馳思於鴈山之夕雲。後会期遥。霑纓於鴻臚之暁涙。(前途は程遠し。思ひを雁山の夕の雲に馳す。後会の期遥かなり。鴻臚の暁の涙に纓を霑(うるほ)す。)」と後江相公1)書きたるを見て、渤海の人、感涙を流しける。
後に本朝人に会ひて、「江相公、三公2)の位にのぼれりや」と問ひけり。しからざるよし答へければ3)、「日本国は賢才を用ゐる国にはあらざりけり」とぞ恥ぢしめける。
翻刻
前途程遠馳思於鴈山之夕雲後会期遥霑纓於 鴻臚之暁涙と後江相公かきたるをみて渤海の 人感涙をなかしけるのちに本朝人にあひて江相公 三公の位にのほれりやととひけりしからさるよし答けれ 日本国は賢才をもちゐる国にはあらさりけりとそはちし めける都良香竹生島にまいりて三千世界眼前尽と案/s90l
text/chomonju/s_chomonju112.txt · 最終更新: 2020/02/06 01:33 by Satoshi Nakagawa