text:chomonju:s_chomonju065
古今著聞集 釈教第二
65 越後の僧正親厳若かりける時たびたび大峰を通りけるに・・・
校訂本文
越後の僧正親厳、若かりける時、たびたび大峰を通りけるに、年ごろ持ち奉りたりける小字の法華経を、香精童子、その形は見え給はで、声ばかりして、後前(しりさき)につきて請ひ給ひけり。「やうあるらん」と思ひて、奉りにけり。
その後、日にしたがひて名誉ありて、東寺一の長者、法務大僧正、護持僧、牛車宣旨まで極められたりし、貴かりしことなり。
翻刻
す越後僧正親厳わかかりける時たひたひ大峯をとをり けるに年比もち奉りたりける小字の法華経を香精 童子其かたちは見え給はて声はかりしてしりさきに つきてこひ給けり様あるらんと思て奉りにけり其後日 にしたかひて名誉ありて東寺一長者法務大僧正御 持僧牛車宣旨まてきはめられたりしたうとかりし事也/s63r
text/chomonju/s_chomonju065.txt · 最終更新: 2020/01/26 22:25 by Satoshi Nakagawa