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古今著聞集 釈教第二
62 鎌倉右大将上洛の時天王寺へ参らせられたりける・・・
校訂本文
鎌倉右大将1)上洛の時、天王寺へ参らせられたりける。その時は鳥羽宮2)別当にてなんおはしける。
御対面ありけるに、幕下申されけるは、「頼朝が一期(いちご)に不思議一度候ひき。善光寺の仏礼し奉ること二度なり。その内初めは定印にておはしましき。次のたびは来迎の印にておはしまし候ふ。すべてこの仏、昔より印相定まり給はぬよし申し伝へて候へど、まさしく証を見奉りて候ひし」と申されけり。
「かの幕下は、ただ人にはあらざりける」とぞ、宮仰せられける。
翻刻
鎌倉右大将上洛の時天王寺へ参せられたりけるその時は 鳥羽宮別当にてなんおはしける御対面ありけるに幕下 申されけるは頼朝か一期に不思議一度候き善光寺仏 礼し奉る事二度也其内はしめは定印にておはし ましき次のたひは来迎の印にておはしまし候すへ て此仏昔より印相さたまり給はぬよし申つたへて 候へとまさしく証をみたてまつりて候しと申されけり 彼幕下はたた人にはあらさりけるとそ宮仰られける/s57l
text/chomonju/s_chomonju062.txt · 最終更新: 2020/01/22 23:11 by Satoshi Nakagawa