rhizome:栄花物語
栄花物語
えいがものがたり
概要
40巻からなる歴史物語。仮名書きによる最初の編年体歴史書で、大鏡などの鏡物に影響を与えたと考えられる。
別名「世継」(讃岐典侍日記、袖中抄、明月記など)、「世継物語」(袋草子など)ともいう。ただし「世継物語」は『大鏡』や『小世継』を指す場合もある。
40巻40冊(異本を除く)からなり、契沖によって二篇に分けられるという説が唱えられてから、巻1〜巻30を正篇、それ以降の10巻を続篇とする。
成立は内部徴証から、正篇が長元2年(1029)〜長元6年(1033)、続篇が最後の記事である寛治6年(1092)をそれほどくだらない時期と考えられている。
作者(編者)は、古くから赤染衛門が書いたとする説があり、正篇・続篇ともに同じ人物によるものという説と、別人によるものという説があるが、いずれも定説にはなっていない。
内容
宇多天皇から、堀河天皇の寛治6年まで、15代約200年間の記事からなるが、宇多天皇・醍醐天皇・朱雀天皇の三代は簡略に書かれている。
正篇
天暦元年(947)から万寿5年・長元元年(1028)の82年間の記事。藤原道長の栄華を讃える記事が中心になり、巻3〜巻30をこれにあて、巻30で道長の薨去を描き正篇は終わる。
巻1 | 月宴 | 宇多・醍醐・朱雀・村上・冷泉・円融 |
巻2 | 花山 | 円融・花山 |
巻3 | 様々の喜 | 一条 |
巻4 | 見はてぬ夢 | 一条 |
巻5 | 浦々の別 | 一条 |
巻6 | かがやく藤壺 | 一条 |
巻7 | 鳥辺野 | 一条 |
巻8 | 初花 | 一条 |
巻9 | 岩蔭 | 一条 |
巻10 | かげのかつら | 三条 |
巻11 | つぼみ花 | 三条 |
巻12 | 玉の村菊 | 三条・後一条 |
巻13 | 木綿四手 | 後一条 |
巻14 | あさ緑 | 後一条 |
巻15 | 疑 | 後一条 |
巻16 | もとの雫 | 後一条 |
巻17 | 音楽 | 後一条 |
巻18 | 玉の台 | 後一条 |
巻19 | 御裳着 | 後一条 |
巻20 | 御賀 | 後一条 |
巻21 | 後悔大将 | 後一条 |
巻22 | 鳥のまひ | 後一条 |
巻23 | 駒くらべ | 後一条 |
巻24 | 若枝 | 後一条 |
巻25 | 嶺の月 | 後一条 |
巻26 | 楚王の夢 | 後一条 |
巻27 | 衣の珠 | 後一条 |
巻28 | 若水 | 後一条 |
巻29 | 玉の飾 | 後一条 |
巻30 | 鶴の林 | 後一条 |
続篇
道長薨去後の63年間を描く。
巻31 | 殿上花見 | 後一条 |
巻32 | 歌合 | 後一条 |
巻33 | きるはわびしとなげく女房 | 後一条・後朱雀 |
巻34 | 晩待星 | 後朱雀 |
巻35 | 蜘蛛のふるまひ | 後朱雀 |
巻36 | 根合 | 後冷泉 |
巻37 | 烟の後 | 後冷泉 |
巻38 | 八松の下枝 | 後三条・後白河 |
巻39 | 布引の滝 | 後白河 |
巻40 | 紫野 | 後白河・堀河 |
諸本
古本系
第1種
- 梅沢本(e-国宝による画像)
- 中央大学本(九条家旧蔵本)
第2種
- 陽明文庫本
- 宮内庁書陵部蔵甲本・乙本(桂宮本)
- 天理図書館本
流布本系
第1種
- 西本願寺本
- 吉田幸一蔵飛鳥井雅章本
第2種
- 古活字本
- 明暦二年刊本
異本系
- 富岡家旧蔵甲本・乙本
rhizome/栄花物語.txt · 最終更新: 2014/04/07 03:17 by Satoshi Nakagawa