rhizome:文献学
文献学
ぶんけんがく
定義
文学研究の方法論の一つ。書誌学、本文批評などの方法を駆使して、写本・版本から、作者や撰者が書いた原本の姿を復元しようとする方法。
古典文学の本文は、書物の形態で伝わることが多いが、それらは作者の原本(自筆本)であることはほとんどなく、写本や版本などとして伝わる。多くの場合それらは転写を重ねられており、意識的、無意識的に異同が発生し複数の伝本となる。
これらを書誌学的方法により、伝本の性格から系統立て、分類する。
それによって得られた諸本の親子関係・兄弟関係を参考にして、本文批評によって原本を再生する試みを文献学的研究という。
その後、さらに注釈という工程があるが、本文批評には解釈が必要となるので、文献学的方法と解釈学は不可分である。したがって、広義には解釈学も文献学的方法の一つに含めることができる。
「文献学的方法」「文献学的研究」のように用いられ、文献学という独立した学問があるわけではない。
文献学という言葉は、ドイツ文献学を参考にして、芳賀矢一によって最初に用いられたが、その方法はすでに近世の国学に見られる。
参考文献
- 池田亀鑑『古典の批判的処置に関する研究』(岩波書店・昭和16年)
- 橋本不美男『原典をめざして』(笠間書院・昭和49年)
rhizome/文献学.txt · 最終更新: 2014/03/18 17:06 by Satoshi Nakagawa