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小雲取越え(2002/7/23)

小雲取越えは距離もそれほど長くないし、峠も少ないのでそれほど時間はかからないだろう。とりあえず、時間があるので、ご飯を炊いてゆったりとした朝食にする。

川を渡って小和瀬の集落をぬけると、再び熊野古道の始まりだ。しばらく行くと向こうから老夫婦がきた。挨拶すると、もう一人先に行った人がいるという。この人とは桜茶屋を抜けたあと追いぬき、石堂茶屋で再会した。

小雲取越えは、大雲取越えとはちがい、あのいまわしい石畳や石段が少ない。とても快適な道でハイキング気分だ。

小和瀬の集落から1時間ほど歩くと、見晴らしのいい桜茶屋跡に着いた。ここはかつて小口の集落が見渡せ、巡礼者が古道を上がってくるのを見て、餅をつき始めたという。なるほど、小口からここまでは餅がつきあがるのに十分な時間だ。

桜茶屋以降は日当たりの多い場所が多く、とても暑い。おまけに水場がない。道標には石堂茶屋に水場があるようなことが書いてあったが、実際に行ってみると水場らしいものはない。観察すると、アヅマ屋の下の谷のようになったところに、沢がある。

降りにくそうなので躊躇していると、後ろからおじさんが来た。しばらくしゃべったあと、おじさんのボトルと私のボトルを持って沢に下りてみた。

ここは、道標にあったように水場として整備したらしい。ドラムカンに沢からのホースが突っ込まれている。ところが、沢に水はあるものの、ホースからは水がでておらず、ドラムカンの水は単なるボウフラの養殖場になっていた。沢の水量がへってしまったのだろう。

ともかく、ペットボトルに水を取ろうとしたが、沢の水深が浅くてとてもとれない。蚊が多くて長くいられないので、いったん上に登って、虫除けスプレーを全身にかけ、マグカップを持って再度挑戦。二本のボトルを満タンにできた。

このおじさんは東京からきていて、何と70歳。ODA関係の仕事で、ネパールなどに道を作ってきたという。小口の旅館に着いたのが6時すぎだったというから、昨日は僕とほぼ同じ時間に山にいたらしい。おじさんは「ここは日本の万里の長城ですね」と言った。なるほどなあと思った。道の専門家のいうことだから重みがある。

たしかに、今のような林道もトラックもない時代に、熊野の山奥にこれだけの石畳と石段をつくるのは並たいていのことではない。それに、長城は皇帝の命令によって作られたものだが、こちらはまったくの庶民の道である。長さでは比較にならないにしても、けっして引けをとってはいないだろう。

このおじさんとは、出口で再び会うのだが、歩くスピードが違うのでいったん別れた。しばらく行くと百間ぐらという、見晴らしのいい所についた。ここからどこまでも続く熊野の山がよく見える。「果無(はてなし)」というのだが、まったくよく言ったものだ。

ここから先はなだらかな坂の続く快適な道だ。ガサガサと落ち葉に埋まった道を歩くのは気持ちいい。夏に落ち葉とは奇妙に思うかもしれないが、これが熊野の特徴である照葉樹林である。常緑の広葉樹だから一年中落ち葉があるのだ。

ガサガサ、ガサガサと更に歩くと、目の前に熊野川が見えた。ゴールは間近である。たいして疲れてもいないが、眺めがいいので暫く座って川を眺めていると、後ろから青年がきた。テント持参の私よりははるかに軽装だが、なんと今日一日で大雲取越えと小雲取越えをしてきたという。彼は「あの本にはだまされましたよ。小口で止めておけば良かった。」と言い、「もういっぱいいっぱいなんで先に行きますね」と言って先を急いだ。

そこから請川(うけがわ)のバス停はすぐだった。青年はそこでバスを待っていた。彼は「ともかくビールが飲みたい」と言った。僕も同感だ。聞くとあと20分ほどでバスが来るという。本当はそこからキャンプ場まで歩こうと思っていたのだが、舗装路を歩いても面白くなさそうだし、20分ならバスを待った方がいいと思い、二人でバスを待っていると、後ろから、あの石堂茶屋であったおじさんが来た。

三人でバスに乗り、青年は川湯温泉へ、おじさんは湯峰温泉へ、私は渡瀬温泉で降りた。

渡瀬のキャンプ場は炊事場とトイレ、自動販売機が完備されているが、今一つ地味な感じで先客は二張いただけだ。これで600円は高いなとおもったが、川湯の方は人が多くていやなのでこっちにした(料金は同じ)。

渡瀬温泉には立派な立派なクアハウスがついており、そこでゆっくり湯に浸かって疲れを取った。

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wmr/kumano3.txt · 最終更新: 2014/06/24 14:11 by Satoshi Nakagawa
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