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世継物語
第48話 信の右大臣と申す人おはしけり。万の事やむごとなく・・・
校訂本文
今は昔、信(まこと)の右大臣と申す人おはしけり。万の事、やむごとなく、めでたくおはしける中にも、箏(さう)のことなん、並びなく弾き給ひける。
いみじく心を澄まして、暁方にやむごとなき手を取り出でて弾き給ひけるに、隔子(かうし)の上げたる上に、物の光るやうにするを、やをら見れば、丈一尺ばかりなる天人どもの来て、二三人ばかり聞き給ひけり。
翻刻
今は昔まことの右大臣と申人おはしけり万の事や む事なくめてたくおはしける中にもさうのことなんな らひなく引給けるいみしく心をすまして暁方にや/25ウ
むことなき手を取いてて引給ひけるにかうしのあけた る上に物のひかるやうにするをやをらみれはたけ 一尺はかりなる天人とものきて二三人はかり聞給けり/26オ
text/yotsugi/yotsugi048.txt · 最終更新: 2014/09/25 02:40 by Satoshi Nakagawa