text:yomeiuji:uji153
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第153話(巻12・第17話)
鄭大尉事
鄭大尉の事
今はむかし、おやに孝する物ありけり。朝夕に木をこりて、親をやしなふ。孝養の心、空にしられぬ。
梶もなき舟に乗て、向の島に行に、朝には南の風ふきて、北の島に吹つけつ。夕は又舟に木をこり入てゐたりければ、北の風吹て家にふきつけつ。
かくのごとく、する程に、年比になりて大やけにきこしめして、大臣になしてめしつかはる。その名を鄭大尉とぞいひける。
text/yomeiuji/uji153.1397733703.txt.gz · 最終更新: 2014/04/17 20:21 by Satoshi Nakagawa