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打聞集
第19話 弘法大師、請雨経の事
校訂本文
弘法大師1)、神泉へ行き請雨経の法をし給ふ。壇上に五尺ばかりの蛇の頸玉巻きたる、五寸ばかりの蛇の金色なるをこれに戴き出づ。しばらくあて、壇より当りて、池に入る。二十人の伴僧、並居れども、やんごとなき伴僧四人、僧、都合五人なむ見る。
やんごとなき僧の僧都、「これは何相」と問はるれば、大師、答へていはく、「天竺にある阿耨多池といふ池に住む善女龍王、この池に通ふ。これは、この法の験(しるし)有りとて、見たるなり」と答ふるほど、空にはかに曇りて、世界、雨遍(あまね)く降りぬ。
倶時、神泉池にて、これより後、御修法これを行はると云々。
翻刻
弘法大師為神泉行請雨経法給壇上に五尺許蛇の頸玉まきたる五寸許の蛇の金色 戴之出蹔あて壇より当りて池に入廿人伴僧並居とも止无伴僧四人僧都合五人 なむ見止无僧の僧都これは何相と問れは大師答云天竺に有阿耨多池と云池住む 善女龍王此池に通ふ此は此法の験有とて見たる也と答程空頓くもりて世界雨遍 降ぬ具時神泉池にて此より後御修法行之云々/d31l
1)
空海
text/uchigiki/uchigiki19.1526465386.txt.gz · 最終更新: 2018/05/16 19:09 by Satoshi Nakagawa