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text:tosanikki:se_tosa50

土佐日記

2月11日 鵜殿〜山崎

校訂本文

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十一日、雨いささかに降りて、やみぬ。かくてさし上(のぼ)るに、東(ひむがし)の方に、山の横ほれるを見て人に問へば、「八幡(やはた)の宮1)」と言ふ。これを聞きて喜びて、人々拝み奉る。

山崎の橋見ゆ。嬉しきことかぎりなし。ここに、相応寺のほとりに、しばし船をとどめて、とかく定むることあり。

この寺の岸ほとりに、柳多くあり。ある人、この柳の影の、川の底に映れるを見て、詠める歌、

  さざれ波寄するあやをば青柳(あをやぎ)のかげの糸して織るかとぞ見る

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十一日あめいささかにふりてやみぬ
かくてさしのほるにひむかしの
かたにやまのよこほれるをみてひと
にとへはやはたのみやといふこれ/kd-48r
をききてよろこひてひとひとを
かみたてまつるやまさきのはし
みゆうれしきことかきりなし
ここに相応寺のほとりにしはし
ふねをととめてとかくさたむること
ありこのてらのきしほとりにやな
きおほくありあるひとこのやなき
のかけのかはのそこにうつれるを
みてよめるうた さされなみよする/kd-48l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100421552/48?ln=ja

あやをはあをやきのかけのいと
しておるかとそみる/kd-49r

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100421552/49?ln=ja

1)
石清水八幡宮
text/tosanikki/se_tosa50.txt · 最終更新: 2023/10/12 00:30 by Satoshi Nakagawa