text:sesuisho:n_sesuisho8-143
醒睡笑 巻8 茶の湯
9 時しも夏の暑きころ民家に姥ら集まり茶事してゐけるが・・・
校訂本文
時しも夏の暑きころ、民家に姥(うば)ら集まり茶事してゐけるが、連尺(れんじやく)かけたる商人(あきうど)の通るをあはれみ、「立ち寄り休み、茶をも飲まれよ」と呼びたれば、「あら嬉しや。三服たべう」と言ふ言ふ立ち寄りし。「いかほどなりと飲ましませ」。商人、「いや三服は空値(そらね)1)。定(ぢやう)2)は一服たべうず」と。
翻刻
一 時しも夏のあつき比民家にむばらあつまり 茶事してゐけるかれんしやくかけたる商人 のとをるをあはれみ立よりやすみ茶をものま れよとよひたれはあら嬉しや三服たへう といふいふたちよりしいかほとなりとのまし ませ商人いや三服はそらね定は一服たへ/n8-55r
うすと/n8-55l
text/sesuisho/n_sesuisho8-143.txt · 最終更新: 2023/02/16 21:17 by Satoshi Nakagawa