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text:sesuisho:n_sesuisho8-066

醒睡笑 巻8 頓作

66 木村の宗宜とて吉野の代官なりし・・・

校訂本文

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木村の宗宜とて、吉野の代官なりし。京都に家あり。茶の湯にて、三藐院殿(さんみやくゐんどの)1)を請じ奉り。

次へお出でありし時、少女かよひに出でたり。「そちが名は何と言ふぞ」と問はせ給へば、「雪」と申し上ぐる。あとよりまた一人まかり出づる2)。その名をお尋ねあれば「玉」と申しけるにぞ、すなはち当座をあそばされし。

 先に出で友まつ雪のいろにまたおとらぬほとの玉あられかな

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翻刻

一 木村の宗宜とて吉野の代官なりし京都
  に家あり茶の湯にて三藐(みやく)院殿を請し
  奉り次へお出ありし時少女かよひに出たり
  そちが名はなにといふぞととはせ給へは雪と
  申上る跡より又一人まりいつるその名を
  お尋あれは玉と申けるにそすなはち当
  座をあそはされし/n8-28r
   さきに出て友まつ雪のいろに又
    おとらぬほとの玉霰かな/n8-28l
1)
近衛信尹
2)
「まかり出づる」は底本「まりいつる」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho8-066.txt · 最終更新: 2022/11/09 19:16 by Satoshi Nakagawa