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醒睡笑 巻6 推はちがうた
7 坊主同宿をつれて邏斎に出でし・・・
校訂本文
坊主、同宿をつれて邏斎(ろさい)に出でし。斎料(ときれう)に布施を包み、童子に持たせ、坊主の前に置く。これは百文あり。
後に亭主、二十疋1)包みけるを持ちて出で、同宿が前に置く。坊主、「あら不審や。前後失念にてこそあらめ」と、帰寺の上に同宿に向かひ、われがをそちへやり、手前のをばこの方へ取らん」と言ふ。同宿、難儀なるふりをするに、いよいよ欲しく思ひ、わが分を投げ出だし、かの二百包みを取り上げて見れば、蝋燭二挺ありけり。
翻刻
一 坊主同宿をつれて邏斎に出し斎了に 布施をつつみ童子にもたせ坊主の前に置 是は百文あり後に亭主廿疋つつみけるを持て 出同宿か前に置坊主あら不審や前後失念 にてこそあらめと帰寺の上に同宿にむかひ 我かをそちへやり手前のをは此方へとらんと いふ同宿難儀なるふりをするにいよいよほし く思ひ我か分をなけ出し彼二百つつみを とりあけてみれはらうそく二挺ありけり/n6-44r
1)
二百文
text/sesuisho/n_sesuisho6-090.txt · 最終更新: 2022/05/20 22:09 by Satoshi Nakagawa