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text:sesuisho:n_sesuisho3-080

醒睡笑 巻3 自堕落

4 芋掘り僧のありつるが秋も最中の月澄みに・・・

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芋掘り僧のありつるが、秋も最中(もなか)の月澄(つきす)みに、百姓出でて田を守(も)りゐたり。夜更け、物音せぬみぎり、笠を着、白き帷子(かたびら)を端折りたる男、さうけ1)と小桶とを持ちて来たりぬ。

百姓、不審なるものに思ひとがめければ、かの男言ふ、「俗人2)鰌(どじやう)すくふに、何のくせごとかあらうぞ」と。

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一 いもほり僧のありつるか秋も最中の月澄(つきすみ)
  に百姓出て田をもりゐたり夜ふけ物を
  とせぬみきり笠をきしろき帷子をはし
  おりたる男さうけと小桶とをもちて来りぬ
  百姓ふしんなる物におもひとがめけれは
  彼男いふ俗(ぞく)人鰌(どじやう)すくふになにのくせ
  ことかあらふぞと/n3-38r
1)
ざる
2)
実は僧なので、つい俗人と言ってしまった。
text/sesuisho/n_sesuisho3-080.txt · 最終更新: 2021/10/26 22:43 by Satoshi Nakagawa