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text:sesuisho:n_sesuisho2-094

醒睡笑 巻2 賢だて

4 出家のさまかへて武士になりたるが馬に乗り遊行する道に・・・

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出家の、さまかへて武士になりたるが、馬に乗り遊行(ゆぎやう)する道に、「何やらん珍しく赤漆にて塗りたる物あり」と見付け、小姓を招き取り寄せけるに、小姓渡しざまに、「これは伊勢海老(いせえび)にて候ふ」と申したるに、「そち体(てい)さへ知りたる伊勢海老を、われが知らいでおこうか。これは朱のさしやうの珍しさに見るよ」と。

雄長老

  朱をまぜて漆ぬるでの紅葉(もみぢば)はまづ秋風にまけて散るらん

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一 出家のさまかへて武士になりたるが馬にのり
  遊行する道になにやらんめつらしく赤漆
  にてぬりたる物ありと見付小姓をまねき
  とりよせけるに小姓はたしさまにこれは
  伊勢海老にて候と申たるにそち体さへ
  しりたるいせえひを我れがしらいでをこふか
  これは朱のさしやうのめつらしさに見るよと
     雄長老
   朱をませて漆ぬるての紅葉は/n2-48l
   まつ秋風にまけてちるらん/n2-49r
text/sesuisho/n_sesuisho2-094.txt · 最終更新: 2021/09/01 16:19 by Satoshi Nakagawa