text:mogyuwaka:ndl_mogyuwaka14-12
文書の過去の版を表示しています。
蒙求和歌
第14第12話(212) 黄琬対日
校訂本文
黄琬対日
後漢の魏郡に日蝕ありけり。おほやけ、勅を出だして、蝕する所の多少を問はるるに、蝕する所、十余分に及びけり。祖瓊1)、この趣(おもぶき)を書き述べむとするに、筆惑ひけり。
時に、祖瓊の少子黄琬、六歳にして、傍らにありていはく、「蝕の余りは、月の初めてなるがごとし」と言へり。この趣(おもむき)を書き述べてけり。
いとけなき心に、悟りの深きことを、ありがたき例(ためし)にて、それより名を得てけり。
消え残る日陰の雪の色かはり月は雲間にあらはれにけり
翻刻
黄琬対日 後漢の魏郡に日蝕ありけりをほやけ/勅をいたして蝕する所の多少をとはるるに 蝕する所ろ十余分にをよひけり祖瓊このをもふきをかきのへむとするに ふてまとひけりときに祖瓊少子黄琬六歳にしてかたはらにありて 云く蝕のあまりは月のはしめてなるかことしといへりこのをもむき をかきのへてけりいとけなき心にさとりのふかきことをありかた/d2-43l
きためしにてそれよりなをえてけり きえのこるひかけのゆきのいろかはり月は雲まにあらはれにけり/d2-44r
1)
黄琬の祖父、黄瓊
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka14-12.1521443946.txt.gz · 最終更新: 2018/03/19 16:19 by Satoshi Nakagawa